悪党だらけの乙女ゲームに転生したけど、×亡しすぎて残機が足りない!(溺愛もあるよ★)

 しかしガルーとサングレが攻撃に転じる前に紅龍様が跳躍すると、二人の間に着地する。
 と同時にガルーとサングレの顎に掌底を叩き込んでいた!
 ガルーが発砲するよりも、サングレが斬りかかるよりも早く……!

 紅龍様の一撃を受けた二人は床に倒れ込む!

 「ガルー! サングレ!」

 私が駆け寄ろうとするのを紅龍様が手で制す。
 そして紅龍様は倒れた二人の前髪を掴んで顔を上げさせると、ゾッとするような低い声で告げた。

 「……ボスの女に手を出すな、と何度も言っているだろうが。殺されたいか?」

 それは紅龍様のマフィアとしての顔だった。
 ガルーとサングレが文句を言いかけたので、私は急いで紅龍様に注釈した。

 「でも紅龍様! 逆ハーレムOKって以前に言ってましたよね!?」

 私の問いかけに紅龍様はクルッと振り返って「浮気は良いが本気はコロス!」と拳をバキバキ鳴らしている。
 浮気絶許勢の紅龍様からすれば、凄まじい譲歩なのだろうけど、何で今ガルーとサングレにバチギレしてるの!?
 私は椅子に隠れながら野次を飛ばした。

 「結局、浮気OKじゃないってコトじゃないですかー。紅龍様ーどーしてー!? ひーどーいー」
 「隠れながら言ってんじゃねーヨ! オマエにその気がなくても、このガキどもは本気だからだヨ!」

 そ、そんなバカな…! とガルーとサングレを見つめる。
 二人は本気で悔しそうな表情を浮かべており、怒りが滲みでていた。

 嘘……私こんなにモテてたの!?

 と前世でのモテなさから無自覚ムーヴを発揮していた私。ガルーとサングレに溺愛されてると知る。
 その瞬間、パァン!と乾いた音がして紅龍様の体が傾く。

 何事かと思って辺りを見回すと、教会の入り口で銃を構えるアリアが居た。
 紅龍様に向かって狙撃したらしいけど、おい! 手加減!!

 しかし紅龍様を見てみると――弾丸を指2本で掴んでる! バケモンか!

 その隙にガルーとサングレが紅龍様の戒めから脱出したみたいだけどアリアの『必ず当たる弾丸』を指で止める相手にどう攻撃するのか!
 ガルーとアリアが同時に狙撃するも紅龍様は両手で弾丸を曲芸みたいに止めていくし、サングレの刃は長い足で蹴り上げて避けている。

 防戦一方に見える3対1の攻撃のはずなのに、ガルー達のが押されていた。
 このままじゃ本当に3人が殺されちゃうんじゃないかと私は焦った結果……

 「ていうか! もう! 止めてくださいよ! 私の最推しは紅龍様だって言ってるでしょ!」

 その言葉に全員が、ぴたりと止まる。

 フッ……と勝ち誇った顔の紅龍様。
 アリアは無表情で涙をダバーッと流し、サングレは青ざめた顔で立っている。
 ただ、ガルーだけは別だった。

 「それがどうしたっつうんだよ」

 そう告げるなり、革靴を鳴らして近づいてくると、私の腰を抱きよせた。

 「惚れた女を惚れさせられねぇで、マフィアやってられっかよ」

 言うなり、ガルーの唇が近づく。
 私は焦る!

 「ちょ! ガルー待って待って! 今キスしたらアンタ、紅龍様と間接キスすることになるのよ!」
 止めようとしたけど、ガルーは「ならオレが上書きしてやるよ」と、唇を重ねてきたのだった。