すらすらと読める文なのに、ふと止まって撫でたくなってしまうような柔らかくて優しい言葉で紡がれた物語。読み終えた時、涙があふれていました。
琥珀、つらかったね。でも強くなったね……虐げられ怯える日々を送っていた琥珀が、蘿月と出逢い歩き出すようになり、最後は人前で踊れるほどまでになってよかったです。少女から女性へと変わっていく琥珀。骨を拾う場面では、これまでの出来事の映像がすーっと流れてくるようで、気づいたら泣いてしまっていました。救われてよかった……。
何故か悪役だった志貴のことが嫌いになれませんでした。暴力も暴言も嫌ですが、それほどまでに愛していたのだと思うと辛くて……。共に暮らしていた日々の中でも、心の底から愛し慈しんでいた瞬間もあったのではないかな、と思いたいです。来世はまともな人になってくださいまし。
五百年後の世界でも、琥珀と蘿月が出逢い、笑い合ってくれますように。