「藁はそんなに心細いのかー!」
か細い、蚊の鳴くような声でそう言ったのが聞こえてきたのです。
「まさか、でございます。さようなこと、あるわけがございませぬ。」
「だから、藁はそんなに、心細いのか?」
よくよくあたりを見回すと、左肩のあたりに、小さな点が2つある籾が付いてありました。
「ワラワはそんなに、心細いのかー!?」
「わ!」
その籾に、口が生えて目をつぶりながら叫び声をあげたのです。
「そなたは、お米さま?」
「しー! 声が大きいですよ! 他の人に聞かれたら私はただの籾に戻ってしまいます。」
お米さまに諭され、麗蘭は両手で口をふさぎます。
「いいですか、麗蘭さま。ワラワの言う通りにするのです。さすれば必ず、歌会に参内することが叶いますゆえ。」
麗蘭は無言でウンウンとうなずき、お米さまの言うことを聞きました。
まずは、この藁で裃を作ることから。
「できましたわ。」
麗蘭が作った裃は本物のように型がよく、これが上質の絹でできていたら本当に素晴らしいお召し物になっていました。
「では麗蘭さま、この裃を大事にしまって、今日はゆっくりお休みくださいませ。」
「え、もう寝てしまうのですか?」
「声が大きい!」
また麗蘭は両手で口をおさえます。
「麗蘭さま、歌会は明日の宵に開かれるのです。今日くらいゆっくり休まれませんと、居眠りをなさることになってしまわれますぞ。」
「そうね。」
今度は囁くほど小さな声で語りかけました。
「もう時は亥の刻。今は休まれることが1番の準備でございます!」
お米さまの教えに従い、麗蘭は「うん」とうなずき、華蓮さまの荷物で半分塞がれた自分の部屋で休むことにしました。
「ねぇ、やっぱりこの桜柄、イトヲカシ〜!」
「でも桜は春でしょ。ここはナデシコとか?」
「あ〜それもイケてる〜! じゃなかった、イトヲカシ〜!」
そんな甘ったるい会話が聞こえてきます。
「大丈夫。お米さまの教えに従えば私だって歌会に参内できますわ。」
麗蘭は目をつぶって何度も何度もそう唱えながら寝入りました。
か細い、蚊の鳴くような声でそう言ったのが聞こえてきたのです。
「まさか、でございます。さようなこと、あるわけがございませぬ。」
「だから、藁はそんなに、心細いのか?」
よくよくあたりを見回すと、左肩のあたりに、小さな点が2つある籾が付いてありました。
「ワラワはそんなに、心細いのかー!?」
「わ!」
その籾に、口が生えて目をつぶりながら叫び声をあげたのです。
「そなたは、お米さま?」
「しー! 声が大きいですよ! 他の人に聞かれたら私はただの籾に戻ってしまいます。」
お米さまに諭され、麗蘭は両手で口をふさぎます。
「いいですか、麗蘭さま。ワラワの言う通りにするのです。さすれば必ず、歌会に参内することが叶いますゆえ。」
麗蘭は無言でウンウンとうなずき、お米さまの言うことを聞きました。
まずは、この藁で裃を作ることから。
「できましたわ。」
麗蘭が作った裃は本物のように型がよく、これが上質の絹でできていたら本当に素晴らしいお召し物になっていました。
「では麗蘭さま、この裃を大事にしまって、今日はゆっくりお休みくださいませ。」
「え、もう寝てしまうのですか?」
「声が大きい!」
また麗蘭は両手で口をおさえます。
「麗蘭さま、歌会は明日の宵に開かれるのです。今日くらいゆっくり休まれませんと、居眠りをなさることになってしまわれますぞ。」
「そうね。」
今度は囁くほど小さな声で語りかけました。
「もう時は亥の刻。今は休まれることが1番の準備でございます!」
お米さまの教えに従い、麗蘭は「うん」とうなずき、華蓮さまの荷物で半分塞がれた自分の部屋で休むことにしました。
「ねぇ、やっぱりこの桜柄、イトヲカシ〜!」
「でも桜は春でしょ。ここはナデシコとか?」
「あ〜それもイケてる〜! じゃなかった、イトヲカシ〜!」
そんな甘ったるい会話が聞こえてきます。
「大丈夫。お米さまの教えに従えば私だって歌会に参内できますわ。」
麗蘭は目をつぶって何度も何度もそう唱えながら寝入りました。



