夜叉丸は一瞬瞑目したのち、深く息を吐き出し、静かにうなずいた。


「よい。貴様の願いを、冥に新たな暦として刻もう」


その言葉が、雪白の心に希望の灯を灯した。

彼女の願いは、ただひとつ。

白夜という命の成長を、母として守りたい。

そして冥の世界に新たな光をもたらすための第一歩を踏み出すことだった。

その決意は、かつて囚われの身であった少女の姿からは想像もつかぬほど、凛と輝いていた。