夜が更けて、雪白は一人、寝所の障子の外に出ていた。
淡い月明かりが、冥火の花を静かに照らしている。
雪白は深く息を吸い、心の中の問いに答えようとした。
“この命をどう育てるべきか”
“母として、冥王妃として、自分に何ができるのか”
冥の世界に“暦”を織り込むことは叶えられるのだろうか。
心の中で、彼女は小さく答えた。
「……白夜。産まれたら、私は貴方にあたたかな世界をつくってあげたい」
その声は弱かったが、確かな未来への誓いだった。
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