雪白はそっと夜叉丸から手を離し、目をそらせた。

「……でも、不安もあります。この世界で、人を宿すことは異端です。もしかすると――」

その先の言葉を口にするのはつらく、彼女は再び腹に視線を落とした。

夜叉丸はゆっくりとうなずき、声を震わせながら言った。

「お前には覚悟がある。恐れているかもしれないが、俺と白夜のためにずっと祈ってきた。それが、覚悟だ」

その言葉に雪白はうるうると涙ぐんで、うなずいた。

「ありがとうございます、夜叉丸様。……この子の命を守るためなら、私はどんな闇にも立ち向かいます」