「この子が私を守ってくれたのかもしれませんね……」
夜叉丸はそっと額に口づけし、誓いを新たにした。
「俺が、お前たちを守る。それが冥の誓いだ」
霞は冥の最奥、幽監の間に閉じ込められた。
神界へ戻ることも許されず、永遠に自らの業と向き合う運命を背負わされる。
そして神界は冥との断絶を宣言し、緊張は高まる一方だった。
だが雪白は、何度もの痛みと戦いながら、冥界に向けて宣言する。
「冥と現世、神とあやかし、人と異形……そのすべてを繋ぐために、私は冥に咲く」
その姿に、冥の者たちは深く膝をつき敬意を表した。
夜叉丸はその隣で静かに微笑み、呟く。
「冥は、貴様のものだ」
こうして――冥の王妃は、母となり、導き手となり、
穢れなき闇の美しさを世界に咲かせていくのであった。



