(どうして、私だけ……) その問いは、もう何度心の中で繰り返したか知れない。 (わたしが何をしたというの……?) 霞は愛された。 加護を授かり、祝福を受け、家の期待を一身に背負った。 対して、雪白にはなにもなかった。 加護はなく、母は早くに亡くなり、家では陰となり、疎まれた。 誰かが一度でも、あたたかく抱きしめてくれたら。 たった一度でも、「ここにいていい」と言ってくれたら。 ――きっと、救われていた。