夜叉丸は雪白の側に寄り添い、深く抱きしめる。

 

 「この子を守る。お前を守る。俺のすべてを賭けて」

 

 雪白は小さく震えながらも、その腕の中で祈るように瞳を閉じた。

 

 

 だが、胎内の命は静かに、その存在感を増していた。

 

 「新たな命の気配が、確かにございます」

 医師の声は優しくも重く、未来への希望と不安を同時に告げていた。

 

 雪白の心は揺れ動いた。

 

 (この子は……ただの命ではない。冥の未来を繋ぐ希望なのだ)

 

 彼女の胸の痛みは、胎動の一部だと自分に言い聞かせながらも、どこかで恐怖も感じていた。

 

 (この子が生まれたら、冥はどう変わるのだろう……?)