神界の者たちは敗北を認め、霞と比左古は永遠の影牢に閉じ込められた。
 朝霧は神界へ戻され、以後、冥との接触を断つことを命じられる。

 雪白は、夜叉丸の隣に立ち、正式な冥の王妃として君臨するようになった。

 その夜、ふたりは初めて真の契りを交わす。

 

 ◆ ◆ ◆


 夜叉丸の寝所。
 薄衣を脱いだ雪白は、震える指で彼の胸元に手を添えた。


 「……今夜、貴方に、全てを捧げたい」

 「その言葉が……どれだけ俺を救うか」


 夜叉丸は、そっと雪白を抱きしめ、唇を重ねた。
 ゆっくりと、愛の火がふたりの間に灯る。


 (この人の温もりは、こんなにも優しい)

 (生きていてよかった――)



 ふたりの影が交わり、冥の夜が、静かにふたりを包み込んだ。