―― 冥華殿の静けさを裂くように、光の使者はやって来た。

 その名は、朝霧(あさぎり)。
 神界より遣わされた「光の神子」、天照大神の神託を背負いし者。

 冥の大門が静かに開かれたその瞬間――冥の空に、あり得ぬ光が差した。


 「冥の君、夜叉丸様にお目通りを」


 白銀の髪を艶やかに垂らし、透き通るような白衣に金の刺繍。
 その姿は、まさに“光の化身”――。


 雪白は、朝霧の姿を目にした瞬間、無意識に身を引いた。
 胸の奥で、何かがひりついた。


 (……この方が、神子さま……)


 冥の静謐さと対極にあるような、眩さ。
 それは、彼女自身の生を否定するような存在感だった。