雪白は自分でも気づかぬまま、目を伏せた。
 自分が欲しているのは、“ただの寵愛”ではない。


 「正式に……人も、あやかしも、神々も認める花嫁に……」


 そう言葉にしてしまえば、まるで求めすぎているように思えた。
 けれど、それは雪白の胸を蝕む“かすかな不安”の核だった。
 
 夜叉丸にとって、自分は“たまたま拾った人間の娘”でしかないのではないか――