冥花の君に見初められて。




 「次。霞(かすみ)殿」


 雪白の後ろに並んでいた異母妹――霞が、柔らかな声で名乗りを上げた。


 「はい……」


 その声が響くと、空気がふわりと変わった。
 神殿の空気が、一瞬にして澄み渡ったのだ。まるで、光が差し込んだかのように。

 霞が神座へと進む姿を、雪白は動けないまま、ただ見つめていた。


 (また――霞なのね)


 そう思った瞬間、神殿の天蓋が光り輝き、霞の肩先に白銀の蝶が舞い降りた。


 「清き光の加護、巫女の印あり」


 神官の声が高らかに響く。参列者から、感嘆の声が漏れる。


 「おお……!」

 「なんと神々しい……」


 霞の美貌は、神の光に照らされていっそう神秘的に際立っていた。
 霞は、雪白の異母妹。母親は父の側女。にもかかわらず、雪白が嫡女であるにも関わらず、すべてにおいて霞は愛された。


 加護すらも――霞に。