「……ああ。俺の花嫁。雪白よ。――もう、何者にも傷つけさせはしない」 その言葉とともに、夜叉丸はそっと彼女の額に口づけた。 雪白の胸の奥で、なにかがほどけた。 暗く閉ざされていた扉が、静かに開く音がした。 夜の冥界に、ただ一輪―― 新たに咲いた“冥の花嫁”の花が、確かに芽吹いたのだった。