家に帰ると、双子の兄二人がもう学校から帰ってきていた。私に気づくと、時計と私の顔を見比べる。
「麗華、帰るの遅くね?」
「委員会」
「へー、なんだっけ」
「図書委員」
「うわー、俺、図書委員の女子とかマジで無理だわー」
「わかるー」
図書委員の女子って暗いもんなぁ、と同じ顔が口を揃える。別に、可愛げが欲しくて図書委員をやってるわけじゃない。……図書委員になれば、松隆と話す機会が増えるかと思っただけだ。松隆が図書委員になったのは、嬉しい誤算というやつで。
「つかお前、髪伸びたな。伸ばしてんの?」
「いや別に」
目ざとい兄の指摘に、早口で素早く否定した。ショートボブを貫いていたのに、私は、夏を過ぎたあたりから、何かへのささやかな抵抗かのように、髪を切る頻度を減らしていった。本当はセミロングくらいに伸ばしたかったけれど、小さい頃から行きつけの美容院で「伸ばしてるの?」と聞かれると「いや、別に」と照れ隠しをしてしまっていた。結果、髪を切りに行くと必ず元のショートボブまで戻ってしまった。
今は、一生懸命伸ばして、やっとボブまで来た。一生懸命、頑張って、髪を伸ばしているのを知られたくなくて、親に「伸びたけど、切りに行く?」と言われるのを「受験が終わったら」と言い訳し続けて、やっと、ボブになった。
なった、けど。
「切るの面倒だったから。来週には切る」
少しは女の子らしく見られたくて伸ばしてる、なんて、泣き出してしまいたくなるくらい、恥ずかしい理由だった。
「麗華、帰るの遅くね?」
「委員会」
「へー、なんだっけ」
「図書委員」
「うわー、俺、図書委員の女子とかマジで無理だわー」
「わかるー」
図書委員の女子って暗いもんなぁ、と同じ顔が口を揃える。別に、可愛げが欲しくて図書委員をやってるわけじゃない。……図書委員になれば、松隆と話す機会が増えるかと思っただけだ。松隆が図書委員になったのは、嬉しい誤算というやつで。
「つかお前、髪伸びたな。伸ばしてんの?」
「いや別に」
目ざとい兄の指摘に、早口で素早く否定した。ショートボブを貫いていたのに、私は、夏を過ぎたあたりから、何かへのささやかな抵抗かのように、髪を切る頻度を減らしていった。本当はセミロングくらいに伸ばしたかったけれど、小さい頃から行きつけの美容院で「伸ばしてるの?」と聞かれると「いや、別に」と照れ隠しをしてしまっていた。結果、髪を切りに行くと必ず元のショートボブまで戻ってしまった。
今は、一生懸命伸ばして、やっとボブまで来た。一生懸命、頑張って、髪を伸ばしているのを知られたくなくて、親に「伸びたけど、切りに行く?」と言われるのを「受験が終わったら」と言い訳し続けて、やっと、ボブになった。
なった、けど。
「切るの面倒だったから。来週には切る」
少しは女の子らしく見られたくて伸ばしてる、なんて、泣き出してしまいたくなるくらい、恥ずかしい理由だった。



