確かに、学校の全校集会だってそんなに毎月話すことなんてないはずなのに毎月あるし、そしていざ開催していみると、自分とは関係がないとはいえ、部活動だの学校行事だの、なんらか報告することはあるものだ。群青の集会というのもそんなものかもしれない。
「……その集会ってどこでやってるんですか?」
「青海神社」
「……神社?」
「神社ってほら、神聖な感じすんじゃん。神に守ってもらえそうな」
……だから、なんなんだ? むしろそんなところに不良がたむろしているなんて罰当たりな気がした。喧嘩に勝てますようにとお祈りしたって、まともな神様なら喧嘩両成敗だと一蹴してしまうような……。
蛍さんはそのまま空いている椅子に腰かけ「つか三国、お前、頭良いんだよな?」とおもむろに妙なことを言う。なんなら、それだけ切り取れば“妙なこと”でしかないのだけれど、蛍さんに不信感にも似たものを抱いてしまっている今、そう聞くことが何の意味を持つのか考えてしまう。
「……急になんですか」
「いや、確認しとこうと思って。中間どうだった」
「1番でしたけど普通科と特別科が別れてるのでそれ自体に意味はないかと」
「よし、問題ねーな」
何が……? 話が通じたのか通じなかったのか、中間試験の順位が蛍さんにどんな意味を持つのかも分からない。
「……それがどうかしたんですか――」
「ねー、昴夜ぁ」
尋ねようとしたところに、また教室の扉が開いた。なんだか桜井くんがよく呼ばれる日だ。
桜井くんを名前で呼ぶ女の子なんて牧落さんしかいない。入ってきた牧落さんは、この教室に入るのが許されないはずがないと言わんばかりの存在感を放ちながら入ってくる。その存在感自体は蛍さんと同じなのだけれど、蛍さんが「なんか文句あっか」とでも聞こえてきそうな態度で入ってくるのとはまた違って、牧落さんが歩いていると「むしろ歓迎されてるよね!」と聞こえてきそうだった。
その牧落さんは「あれっ、いない。ねー、三国さん」と私に近寄ってきて、蛍さん達の存在に気が付き目を丸くした。
「……なんで2年と3年? 知り合い?」
「まあ……」
「なんだ、桜井のヤツ、彼女いんの? 生意気だなアイツ」
蛍さんが眉を吊り上げれば、牧落さんは「違いますー、ただの幼馴染ですう」と蛍さんに向かってまでいつもの親しげな口調で返事をした。蛍さんが泣く子も黙る不良集団のトップだなんて知らないのか、なんなら能勢さんのことも無視して、そのまま私に向き直る。
「ね、三国さん、昴夜どこ行ったか知らない?」
「……雲雀くんとコンビニに行ってそのまま外で食べると思うけど」
なにか用事だったの? と聞く前に、牧落さんは腰に手を当てながら「昨日晩ご飯持って行ってあげたのにいなかったから。早くケータイ買ってよって話しに来たの」と。今日は桜井くんがよく呼ばれる日、そしてなにより携帯電話を買えと急かされる日だ。
というか、晩ご飯を持っていく仲なんだ、この2人。幼馴染だから家も近いのだろうか。
「すげーな、アイツ、彼女でもないのに幼馴染に晩飯作らせんのか」
蛍さんの感想はおおむね私が抱いたものと同じだった。牧落さんは小首を傾げる。
「……すみません、ところでどちら様ですか? 三国さんの先輩?」
「群青の蛍だよ」
「……その集会ってどこでやってるんですか?」
「青海神社」
「……神社?」
「神社ってほら、神聖な感じすんじゃん。神に守ってもらえそうな」
……だから、なんなんだ? むしろそんなところに不良がたむろしているなんて罰当たりな気がした。喧嘩に勝てますようにとお祈りしたって、まともな神様なら喧嘩両成敗だと一蹴してしまうような……。
蛍さんはそのまま空いている椅子に腰かけ「つか三国、お前、頭良いんだよな?」とおもむろに妙なことを言う。なんなら、それだけ切り取れば“妙なこと”でしかないのだけれど、蛍さんに不信感にも似たものを抱いてしまっている今、そう聞くことが何の意味を持つのか考えてしまう。
「……急になんですか」
「いや、確認しとこうと思って。中間どうだった」
「1番でしたけど普通科と特別科が別れてるのでそれ自体に意味はないかと」
「よし、問題ねーな」
何が……? 話が通じたのか通じなかったのか、中間試験の順位が蛍さんにどんな意味を持つのかも分からない。
「……それがどうかしたんですか――」
「ねー、昴夜ぁ」
尋ねようとしたところに、また教室の扉が開いた。なんだか桜井くんがよく呼ばれる日だ。
桜井くんを名前で呼ぶ女の子なんて牧落さんしかいない。入ってきた牧落さんは、この教室に入るのが許されないはずがないと言わんばかりの存在感を放ちながら入ってくる。その存在感自体は蛍さんと同じなのだけれど、蛍さんが「なんか文句あっか」とでも聞こえてきそうな態度で入ってくるのとはまた違って、牧落さんが歩いていると「むしろ歓迎されてるよね!」と聞こえてきそうだった。
その牧落さんは「あれっ、いない。ねー、三国さん」と私に近寄ってきて、蛍さん達の存在に気が付き目を丸くした。
「……なんで2年と3年? 知り合い?」
「まあ……」
「なんだ、桜井のヤツ、彼女いんの? 生意気だなアイツ」
蛍さんが眉を吊り上げれば、牧落さんは「違いますー、ただの幼馴染ですう」と蛍さんに向かってまでいつもの親しげな口調で返事をした。蛍さんが泣く子も黙る不良集団のトップだなんて知らないのか、なんなら能勢さんのことも無視して、そのまま私に向き直る。
「ね、三国さん、昴夜どこ行ったか知らない?」
「……雲雀くんとコンビニに行ってそのまま外で食べると思うけど」
なにか用事だったの? と聞く前に、牧落さんは腰に手を当てながら「昨日晩ご飯持って行ってあげたのにいなかったから。早くケータイ買ってよって話しに来たの」と。今日は桜井くんがよく呼ばれる日、そしてなにより携帯電話を買えと急かされる日だ。
というか、晩ご飯を持っていく仲なんだ、この2人。幼馴染だから家も近いのだろうか。
「すげーな、アイツ、彼女でもないのに幼馴染に晩飯作らせんのか」
蛍さんの感想はおおむね私が抱いたものと同じだった。牧落さんは小首を傾げる。
「……すみません、ところでどちら様ですか? 三国さんの先輩?」
「群青の蛍だよ」



