葵は焔夜の声に励まされ、ゆっくりと立ち上がった。彼女は桜の木に手を伸ばし、心から祈った。
「神様…焔夜様…私の全てを、捧げます。どうか、この国を、この桜を、守る力をください」
その瞬間、聖域全体が眩い光に包まれた。桜の木が黄金に輝き、花びらが天に舞い上がった。群衆が息を呑み、紫苑の目が見開かれた。
「これはっ……真の神子の証」
葵の体がふわりと浮き、彼女の着物に桜の模様がさらに輝きを増した。焔夜は葵の側に立ち、彼女の手をそっと握った。
「よくやった、葵。汝は私の選んだ者だ」
美桜は顔を真っ青にし、叫ぶ。
「そんなはずない! あの子が!? 巫女長、絶対に何かおかしいわ! 私が調べるべきよ!」
彼女は舞台に駆け寄り、葵の着物の裾を掴もうとした。だが、その瞬間、桜の木から放たれた風が美桜を弾き飛ばし、彼女は舞台の下に転がった。
群衆がざわめき、華桜が慌てて姉を助け起こした。
紫苑は美桜を睨み、彼女と彼女を支える華桜に厳しく言った。
「藤井美桜、汝の心の穢れが神の怒りを招いた。神子選定から退場せよ」
美桜は髪を乱し、悔しそうに葵を睨んだ。
「葵…! 絶対に許さない…!」



