桜の神子、愛に咲く





 葵は深呼吸し、水晶の前に立った。彼女の手が水晶に触れた瞬間、月影の間全体が眩い光に包まれた。
 桜の花びらが舞い、水晶から柔らかな光が立ち上り、葵の周りを包んだ。群衆が息を呑む中、紫苑の目が見開かれた。


「これは……神の声に応えた証!」



 葵の心に、焔夜の声が直接響いた。


「よくやった、葵。汝の心は、私に届いた」


 その声は、まるで彼女を包み込むように温かかった。葵は涙をこらえ、そっと呟いた。


「ありがとう…神様…」


 試練が終わり、葵を含む数人の娘が次の段階に進むことが決まった。美桜は顔を真っ赤にし、葵を睨みつけた。


「あんた、絶対何かズルしたわよね! 巫女長、この子を調べるべきよ!」


 だが、紫苑は静かに言った。


「神の意志を疑う者は、神殿から退場せよ。次はお前が試される、藤井美桜」


 美桜は言葉に詰まり、悔しそうに扇子を握り潰した。