○神々の目



 第二の試練は「風舞の殿」。風神の舞を再現する儀で、誤れば神罰を受ける。

 白雪は一夜で神楽の型を覚え、静かに、気高く、舞い上がる。
 風が巻き、花が舞い、やがて神々の囁きが静まる。

 「……夜暁の花嫁、なるほど。芯の通った娘だ」

 「風が喜んでいる。あれは、本物だ」

 神々の一部が、白雪を認め始めた。

 夜暁尊はそれを、ただ黙って見つめていた。

 その瞳は、もはや“花嫁候補”を見る目ではない。
 ただ一人の伴侶として、彼女を選びつつある、そんな色が宿りはじめていた。