○共に過ごす日々
暁宮では、毎日が夢のようだった。
白雪は花の世話をし、神々の文を読んで学び、夜暁尊の膝元で静かに琴を奏でることもあった。
神と共に過ごす時間は、まるで凍った水面にひとしずくずつ温もりが落ちていくようで――
はじめは遠かった心が、少しずつ、少しずつ近づいてゆく。
「……夜暁様は、寂しくなられませんか? このような高いところで、いつもお一人で」
白雪の問いに、神は少しだけ目を伏せた。
「私が知る寂しさは、そなたらのそれとは異なる。だが、そなたと話していると……少しだけ“暖かさ”を思い出す」
白雪の胸に、小さな灯がともる。
この方は、神でありながら、ひとりぼっちだったのかもしれない――
そう思うと、胸が痛んだ。



