それから月日は流れ―― 白雪は、神々の世界にありながら、確かに“人”として息づいていた。 神后として神事を執り行い、夜暁尊の隣で笑い、季節を共に数えていく。そしてある日、白雪はふと、胸の奥に“あたたかな命”の気配を感じる。 「……この命もまた、神と人とのあいだに生まれた奇跡ですね」 夜暁尊はその腹に手をあて、言った。 「そなたは、私に夜明けをくれた。ならばこの子は……永遠を与えてくれたのかもしれぬな」