「そういうところが」

途中まで送られた文字を見て、気づけば私は泣いていた。
冷静になって送る気力もなくて、ただ泣いた。
泣き疲れて、私は歌を書き始めた。
書いて
書いて
破いて
書き疲れて
泣きながら眠りについた。





「嫌いだった。」

別れ際に出てきた言葉は、「ありがとう」でも「ごめん」でもなくて
私の嫌いなところだった。
みんなに人気者の彼が、優しかった彼はもういないのだと気づいた。

付き合っているのを隠されるのが嫌だった。
それを告げると急に態度が変わって、怒鳴られた。
怖かった。
そして次の日別れた。
都合のいい従順な女でいれば、あなたはまだ私のそばにいてくれた?
都合がいい女でいいから、そばに置いといて欲しかった。


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次の日になって、思い瞼を開けた。
おはようの通知の代わりにあったのは
「友達にも戻れない」
だった。

朝起きて、学校に向かった。
いつもと変わらない笑顔で話せた。
でも、同じ仲良しグループにいた彼と距離を取らなきゃいけないから、
離れた。
急に違う世界に飛び込んだ。
みんなに笑顔を振り撒く彼は嘘で作られているんだと知った。
誰にも言えない。誰にも話せない。
そんな時、あのグループの全く話さない、ゲームが上手しかわからない男の子と電話をすることになった。

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「野咲〜!!」
グループが同じだった柳に話しかけられた。
「羽持と夜ゲームしよーよ!」
前日の電話がなくなって、寂しかったからすることにした。
私は羽持の優しさに漬け込んでいたのかもしれない。


彼の名前は羽持結斗で、グループの端にいてお調子者のバカな私が話しかけると優しく控えめに笑うだけ、見ただけで優しいひとだというオーラを纏っている彼は電話にまず来るのか不安だったけど、時間通り…とは行かずに少し遅れてきた。

「あ…じゃあとりあえずこのマップいく?」
意外と話す彼に戸惑いながらも、知らない彼がわかったきて話すのが面白くて
死にたいなんて思ってた私を延命させてくれた。
そこから毎日話すようになって、学校でもたくさん話すようになった。
彼のことをもっと知りたくてなんて綺麗事なのかもしれない。
私は彼の優しさに漬け込んで、前のあの人を忘れようとしていたのかもしれない。