それでも優桜院の宮廷は、華やかな文化の裏で、権力争いが渦巻いていた。
 大納言・藤原頼忠は、自身の娘・彩花を東宮の妃に据え、皇室との結びつきを強めようと画策。宗綱と手を組み、珠緒を排除するため、「清桜家の私生児」との噂をさらに広めた。

 宮廷の女官たちは、薫物の調合や和歌の会で珠緒を嘲笑し、彼女の心を傷つけた。

 珠緒は、ある和歌の会で彩花に挑まれた。

「清桜家の令嬢ともあろう者が、こんな簡単な和歌も詠めぬのか?」


 彩花の言葉に、珠緒は静かに応じた。


【風そよぐ 桜の庭に 心清く 偽りの波 寄せぬ真実】


 その和歌は、会場を静まり返らせ、悠真の心をさらに惹きつけた。彼は即座に返歌を贈る。


【真実の 心は桜 咲き誇る 君を守るは わが愛の盾】


 このやり取りは、珠緒の教養と気品を宮廷に知らしめ、彩花の策略を打ち砕いた。しかし、頼忠と宗綱は諦めることはできず珠緒の琴の演奏会で彼女を辱める計画を立てた。