美桜は、珠緒が東宮に近づくのを許せず嫉妬に燃えた。
「お姉様が東宮に選ばれるなんて、ありえない!」
彼女は宮廷の女官たちと結託し、珠緒の琴の弦を細工し演奏中に切れるよう企んだ。
さらに、宗綱と華江の後押しで「珠緒は嫡子ではなく、私生児」との噂を流した。
優桜院の宮廷では、血統と名誉が何より重んじられ、こうした噂は珠緒の立場を危うくした。
珠緒は貴族たちの冷ややかな視線に傷ついたが、悠真が彼女を支えた。ある夕暮れ、彼は珠緒を「月見の庭」に誘い抱きしめた。
「君の真実は、私が知っている。どんな噂も、君の輝きを曇らせはしない」
その強い眼差しに、珠緒は涙をこぼし、彼の胸に身を寄せた。
「悠真様、私もあなたを信じています」
二人のキスは、月光の下で愛を確かめ合う瞬間だった。
怜司は陰で動き、琴の細工を発見し交換した。さらに、美桜の噂の出所を暴いて悠真に報告する。
悠真は激怒し、宗綱と美桜を宮廷に呼び詰問した。
「清桜家の嫡子を虐げ、名門の名を汚した罪は重い」
美桜は顔を真っ赤にして崩れ落ち、宗綱は弁明できなかった。
宮廷の貴族たちは悠真の毅然とした態度に感服し、珠緒への謝罪と敬意を新たにした。



