数日後、珠緒は悠真に召され、宮廷の「桜の庭」で二人きりの時間を過ごすことになった。
庭には桜が満開で、薫物の香りが漂っていた。悠真は琴を弾く珠緒をじっと見つめ、曲が終わるとそっと手を重ねる。
「君の音色は、私の心を静める。だが、君の笑顔がもっと気になる」
彼の指先は温かく、珠緒は顔を赤らめた。
「東宮様、私のような者は……」
だが言葉を遮るように、悠真は微笑んだ。
「君は清桜家の誇りだ。私のそばで、その光を輝かせてほしい」
悠真は珠緒の髪に落ちた桜の花びらを取り、そっと差し出した。
「君の髪に桜が舞う姿は、まるで絵巻物のようだな」
彼の声は低く、珠緒の心臓は激しく鼓動した。
彼女は恥ずかしさで目を伏せたが、悠真は優しく顎を上げ、瞳を見つめる。
「君は私の心を捉えて離さない。」
その言葉に、珠緒は愛の予感を感じ、胸が熱くなった。悠真は彼女に和歌を贈る。
【 月影に 君の姿は 桜のごと 心寄せる わが愛の花】
珠緒は返歌を詠み、気持ちを伝える。
【桜花 君の言葉に 心開く 月の光に 愛は芽生える】
この夜、二人の心は琴と和歌を通じて深く結ばれた。



