冬休みは、年末年始を挟む長い連休だ。 旅行に出かけたり、友達と遊んだりと、みんな思い思いに予定を立てている。
鳴海も平井と一緒に出かける日がいくつかある。その中には、平井の誕生日も含まれていた。
付き合って初めて迎える、恋人の誕生日。
それはもう盛大に祝いたい。数字のバルーンを飾ったり、花びらを散らしたり、そういう演出が頭に浮かんでくる。
「だから発想が幼稚っていうか、独りよがりっていうか……だな」
「俺、そんな盛大に祝ってもらわなくていいよ」
…潤くんと一緒に過ごせたら、それだけでいい。
控えめな平井を見て、鳴海は胸の奥から愛しさがこみ上げる。
「惚気るなら他所でやってもらっていいですかあ?」
森蔭は呆れたようにため息をついて、店員に苺パフェを注文した。
「てか、なんでお前までいるんだよ」
「明日香がいいって言ったし。ね?」
「そうだよ潤くん。冬休みに入ったら、しばらく耀太とは会えなくなっちゃうんだから」
冬休みだからといって、宿題がないわけではない。夏ほどの量ではないにせよ、早めに片づけてしまったほうがいいだろう。そう思って、二人は勉強会をすることにした。
平井の家には小さな兄弟も両親もいて静かに集中できないため、夜までひとりだという鳴海の家ですることになった。その前に駅前のカフェでひと休みしていこうと話していたら、なぜか森蔭までついてきたというわけだ。
「勉強会は参加しないんだからいいじゃん」
「耀太も来る?」
「ダメだ。俺は明日香と二人がいい」
「やだ〜潤くんってば、エッチ」
「うるさい!」
鳴海が森蔭に怒ると、森蔭も平井も吹き出した。
森蔭は、向かいに並ぶ鳴海と平井の姿を見て思う。やっぱり、この二人はセットだなと。
そういえば、と彼はふと思い出す。
「言い忘れてたけど。二人とも、両想いおめでとう」
不意に言われたその言葉に、二人はキョトンとしたあと、同時に『ありがとう』と声を揃えた。
「本当に似たもの同士っていうか、不器用な二人っていうか。一生くっつかないと思ってたよ」
届いたイチゴパフェを一口頬張りながら、森蔭は目の前の二人を見つめる。
「まあ、確かにな。いろいろあったし」
「友達にすら戻れないかも、って思ったこともあったよね」
「でも、今はこうして隣にいる」
そう言いながら、鳴海は机の下でそっと平井の手を握る。平井は耳まで真っ赤にしながら、それでも嬉しそうに笑った。
──まさか、自分の幼馴染が、恋をするとスキンシップ過多になるタイプだったとは。身内の恋愛というのはなんでこうも気恥ずかしいのかと森蔭は内心苦笑する。
「なんか、お前ら見てるとむず痒いわ」
森蔭は胸のあたりを軽く叩いて『胸焼けしそう』と笑う。
『それ、食べすぎじゃない?』と鳴海に笑われ、平井は『お水もらってくるね』と席を立つ。
やっぱり、むず痒い。
でも、幸せそうで何よりだ。
そう思いながら口に運んだパフェのイチゴが、いつもより甘く感じられた。
鳴海も平井と一緒に出かける日がいくつかある。その中には、平井の誕生日も含まれていた。
付き合って初めて迎える、恋人の誕生日。
それはもう盛大に祝いたい。数字のバルーンを飾ったり、花びらを散らしたり、そういう演出が頭に浮かんでくる。
「だから発想が幼稚っていうか、独りよがりっていうか……だな」
「俺、そんな盛大に祝ってもらわなくていいよ」
…潤くんと一緒に過ごせたら、それだけでいい。
控えめな平井を見て、鳴海は胸の奥から愛しさがこみ上げる。
「惚気るなら他所でやってもらっていいですかあ?」
森蔭は呆れたようにため息をついて、店員に苺パフェを注文した。
「てか、なんでお前までいるんだよ」
「明日香がいいって言ったし。ね?」
「そうだよ潤くん。冬休みに入ったら、しばらく耀太とは会えなくなっちゃうんだから」
冬休みだからといって、宿題がないわけではない。夏ほどの量ではないにせよ、早めに片づけてしまったほうがいいだろう。そう思って、二人は勉強会をすることにした。
平井の家には小さな兄弟も両親もいて静かに集中できないため、夜までひとりだという鳴海の家ですることになった。その前に駅前のカフェでひと休みしていこうと話していたら、なぜか森蔭までついてきたというわけだ。
「勉強会は参加しないんだからいいじゃん」
「耀太も来る?」
「ダメだ。俺は明日香と二人がいい」
「やだ〜潤くんってば、エッチ」
「うるさい!」
鳴海が森蔭に怒ると、森蔭も平井も吹き出した。
森蔭は、向かいに並ぶ鳴海と平井の姿を見て思う。やっぱり、この二人はセットだなと。
そういえば、と彼はふと思い出す。
「言い忘れてたけど。二人とも、両想いおめでとう」
不意に言われたその言葉に、二人はキョトンとしたあと、同時に『ありがとう』と声を揃えた。
「本当に似たもの同士っていうか、不器用な二人っていうか。一生くっつかないと思ってたよ」
届いたイチゴパフェを一口頬張りながら、森蔭は目の前の二人を見つめる。
「まあ、確かにな。いろいろあったし」
「友達にすら戻れないかも、って思ったこともあったよね」
「でも、今はこうして隣にいる」
そう言いながら、鳴海は机の下でそっと平井の手を握る。平井は耳まで真っ赤にしながら、それでも嬉しそうに笑った。
──まさか、自分の幼馴染が、恋をするとスキンシップ過多になるタイプだったとは。身内の恋愛というのはなんでこうも気恥ずかしいのかと森蔭は内心苦笑する。
「なんか、お前ら見てるとむず痒いわ」
森蔭は胸のあたりを軽く叩いて『胸焼けしそう』と笑う。
『それ、食べすぎじゃない?』と鳴海に笑われ、平井は『お水もらってくるね』と席を立つ。
やっぱり、むず痒い。
でも、幸せそうで何よりだ。
そう思いながら口に運んだパフェのイチゴが、いつもより甘く感じられた。
