二学期の終わりを告げる終業式が、今日、無事に幕を閉じた。
夏休み明けの始業式が、つい昨日のことのように思える。
それでも季節は確実に移ろい、夏は秋を越えて冬になり、鳴海と平井の関係も、ただの友達から“恋人”へと静かに変わっていた。
最後のホームルーム。担任の鶴見が冬休みの過ごし方や課題の話をしている。鳴海はその声を話半分に聞きながら、ふと隣の平井に視線を向けた。
平井はまじめに前を見ているように見えたが、鳴海の視線に気付いたのか、ちらりとこちらを見る。「何?」とでも言いたげなその目が愛しくて、呑気に「かわいいな」なんて思っていたところで、案の定、鶴見に注意された。
慌てて目線だけ前に戻す。だが心は、また別のところを漂っている。
鳴海はときどき、あの嵐のような三日間を思い返すのだ。
12月半ばに降った雪の冷たさ。
行き違いが何度も重なって、もうダメかもしれないと思った瞬間。
そしてカフェで、初めて手を握ったときの、平井の体温。
あのときのひとつひとつが、まるで昨日のことのように、今も鮮明に思い出せる。
あの瞬間、自分と向き合って、本当に良かったと、心の底から思う。
いま感じている幸福は、あのとき迷い、苦しんだ自分のおかげだ。
そしてこれから先の幸せは、今後の自分次第。だからこそ大切にしようと、鳴海は何度も何度も、自分自身に言い聞かせるのだった。
夏休み明けの始業式が、つい昨日のことのように思える。
それでも季節は確実に移ろい、夏は秋を越えて冬になり、鳴海と平井の関係も、ただの友達から“恋人”へと静かに変わっていた。
最後のホームルーム。担任の鶴見が冬休みの過ごし方や課題の話をしている。鳴海はその声を話半分に聞きながら、ふと隣の平井に視線を向けた。
平井はまじめに前を見ているように見えたが、鳴海の視線に気付いたのか、ちらりとこちらを見る。「何?」とでも言いたげなその目が愛しくて、呑気に「かわいいな」なんて思っていたところで、案の定、鶴見に注意された。
慌てて目線だけ前に戻す。だが心は、また別のところを漂っている。
鳴海はときどき、あの嵐のような三日間を思い返すのだ。
12月半ばに降った雪の冷たさ。
行き違いが何度も重なって、もうダメかもしれないと思った瞬間。
そしてカフェで、初めて手を握ったときの、平井の体温。
あのときのひとつひとつが、まるで昨日のことのように、今も鮮明に思い出せる。
あの瞬間、自分と向き合って、本当に良かったと、心の底から思う。
いま感じている幸福は、あのとき迷い、苦しんだ自分のおかげだ。
そしてこれから先の幸せは、今後の自分次第。だからこそ大切にしようと、鳴海は何度も何度も、自分自身に言い聞かせるのだった。
