18時になっても鳴海が職員室に来ないことを気にした鶴見は、屋上まで様子を見に行くことにした。
ずっと職員室にいたのだから、すれ違ったとは考えにくい。でも、もしかしたら鳴海が鍵を持ち帰ってしまったのかもしれない。そんなことを思いながら扉を開けると、ベンチに座る鳴海の姿があった。
「おーい鳴海。もう時間だぞ」
鳴海は声がする方を向く。鶴見を見て自分がここに30分以上も座っていたことに気付いた。どうりで手足が冷え耳まで痛いわけだ。
「どうしたんだ、風邪引くぞ。もう遅いし帰りなさい。戸締りは先生がやっておくから」
鳴海は鶴見に鍵を渡して教室に戻る。もちろんそこに平井の姿はない。そういえば、と鳴海はぼんやりと思い出す。上から地上を眺めていた時、平井っぽい子が帰っていくの見た気がする。
アイツのマフラー目立つしな、と。帰り支度をしながら、鳴海の頭の中で平井の言葉がぐるぐる回る。俺の“寂しい”とアイツの“寂しい”は違うのか?何がどう違うんだ?
そして、ふと疑問が湧いた。もしかしたら平井は女じゃなくて男が好きなのかもしれないと。そして平井には好きなヤツがいるかも、と。
「明日香が知らない誰かと付き合う…」
鳴海より平井を分かってる人で、平井のことを尊重できる人。そんな人ならいいのかもしれない。平井もきっと幸せになれる。だけど、と鳴海は思った。それが女でも男でも、嫌だな、と思った。寂しいじゃなくて、嫌だ。と。
「ああ、そっか」
これは平井に伝えないと。自分の気持ちを理解した途端、パッと視界が開けたような、清々しい気持ちになった。雪の中、猛ダッシュで家に帰る。早く明日がくるようにと祈りながら。
ずっと職員室にいたのだから、すれ違ったとは考えにくい。でも、もしかしたら鳴海が鍵を持ち帰ってしまったのかもしれない。そんなことを思いながら扉を開けると、ベンチに座る鳴海の姿があった。
「おーい鳴海。もう時間だぞ」
鳴海は声がする方を向く。鶴見を見て自分がここに30分以上も座っていたことに気付いた。どうりで手足が冷え耳まで痛いわけだ。
「どうしたんだ、風邪引くぞ。もう遅いし帰りなさい。戸締りは先生がやっておくから」
鳴海は鶴見に鍵を渡して教室に戻る。もちろんそこに平井の姿はない。そういえば、と鳴海はぼんやりと思い出す。上から地上を眺めていた時、平井っぽい子が帰っていくの見た気がする。
アイツのマフラー目立つしな、と。帰り支度をしながら、鳴海の頭の中で平井の言葉がぐるぐる回る。俺の“寂しい”とアイツの“寂しい”は違うのか?何がどう違うんだ?
そして、ふと疑問が湧いた。もしかしたら平井は女じゃなくて男が好きなのかもしれないと。そして平井には好きなヤツがいるかも、と。
「明日香が知らない誰かと付き合う…」
鳴海より平井を分かってる人で、平井のことを尊重できる人。そんな人ならいいのかもしれない。平井もきっと幸せになれる。だけど、と鳴海は思った。それが女でも男でも、嫌だな、と思った。寂しいじゃなくて、嫌だ。と。
「ああ、そっか」
これは平井に伝えないと。自分の気持ちを理解した途端、パッと視界が開けたような、清々しい気持ちになった。雪の中、猛ダッシュで家に帰る。早く明日がくるようにと祈りながら。
