ひとつ、私の友人から聞いた、おもしろい話をしましょう。


 ある大雪の日に、友人が車で田舎(いなか)の祖母の家に向かう途中で、道に迷ったことがあったそうです。
 その時、ガードレールの下に、金色の毛に赤い目をした短い尾の猫を見つけ、その(めずら)しい姿に、友人は驚いたのですって!

 その猫は友人と目が合うと、歩きながら鳴いては止まる動きを繰り返し、友人が猫の後を車で追っていくと、数十分後には無事に祖母の家に着いたそうですよ。
 祖母の家に着いた時には、その猫は居なくなっていたみたいで……。


 後日、友人が教えてくれたことですが、今お話しした猫は、友人一族の守り神様のお使いだと伝わっているそうです。
 友人の祖母宅の庭に、その猫の石像が実際にお(まつ)りしてあるので、本当に居るのかもしれませんね。


〈『清能こばなし』おしまい〉