「ルイ! 練習始めるぞ」
朝練に来るのに遅れてしまった。
学校の準備に手が付かなかった。
やはり、なぜか、彼女のことを考えてしまっていたから。
「先に走ってるからな」
勝沼からペットボトルを投げられ、受け取る。
少しばかり汗をかいていたからだろうか。
グラウンドに向かっていく勝沼に向けて「ありがとう」と言った。
まだ声が小さいから、聞こえなかったかもしれない。
いつか、このグラウンドに響かせられるほどの声を出せるようになるように。
急いで着替えよう。
走っている陸上部員や他の朝練している生徒を横目に部室へ走った。
いつか、あの人たちに追いつけるように。
いつか、自分に自信を持てるように。



