白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。



 紫陽に似合う色を選んでくれ。店主からそう言われた彼は、いつも通りの静かな色の瞳でまっすぐ紫陽を見つめる。

 そして即答した。


「萌黄(もえぎ)色」


 萌黄色。新緑を思わせる、明るく若々しい色。

 店主は彼の選んだ布をそっと持ち上げ、にこにこと笑いながら紫陽に見せた。


「ですって奥様」

「……では、それにします」

「かしこまりました。奥様に似合う良い品を仕立てますから楽しみにしていてくださいまし」


 この色が似合うのかどうかは、自分では今ひとつわからない。むしろ合わないような気がする。しかし自分の感覚などまるでアテにならないのでとりあえず信じることにした。

 結局、萌黄色以外にも二色ほど店主に見繕ってもらい、店を出た。


「次に行くか」


 狗神は騒がしい町の中をまたさっさと歩き始めた。

 紫陽は慌ててその背を追いつつ言う。


「あの、ありがとうございます。私などのために上等な服を買っていただいて……」

「妻にきちんとした身なりをさせるのは当然だ。礼を言われるようなことではない」

「でも」