妹の綾目はよくこのような服を着ていたが、自分が着るとなると、どれも今一つしっくりこない。
答えられずにいるとさらに質問を重ねられる。
「奥様は何色がお好きですか?」
「好きな……色……?」
「そう。似合うかどうかよりまず好みからでしょう」
「考えたこと、ないです」
正直にそう伝えれば、女性は虚を突かれたような顔をした。
いたたまれなくなった紫陽がうつむいて「すみません」と言うと、女性は声をあげて笑った。
「ははっ、難しく考える必要はありませんよ。直感で、この色の服なら着てみたいと思う物ありませんかい?」
「直感……」
紫陽は並ぶ反物をじっと睨む。
服なんて着ることができればそれでいい。そう思いながら生活してきた。こんな上等な物の中から何を選んでも分不相応な気がする。
考え込んだまま硬直してしまった紫陽を見て女性は一つ提案した。
「どうしても決められないって言うなら旦那様に聞いてみるってのはどうです?」
「え……」
怪訝な顔をする紫陽を気にすることなく、女主人は狗神を引っ張って紫陽の前まで連れて来た。


