白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。



 あまりに堂々と答えたので、紫陽は思わずむせてしまった。

 そう表現する以外ないというのはわかっているが、いざ他人に向かってそう紹介されると妙な感覚になる。

 女主人は「あらあら」と驚いたように目を丸くした。


「私はてっきり、狗神様は奥方を迎えるつもりはないのかと思っていました」

「誰もそんなことは言っていない」

「あらそうですかそうですか。でもこれは大変。町の娘たちが三日三晩寝込むんじゃないかしら」


 彼女は何度も「あらあら」「そうですか」と繰り返しながら、紫陽のことをじっくりと観察してくる。

 居心地の悪さを覚えながらも静かにしていると、女主人はやがてにこりと笑い「良いのを見繕ってきますよ」と言って店の奥へと消えた。


「奥様、こちらへどうぞ」


 ほどなくして戻ってきた女主人はそう言って手招きして紫陽を呼ぶ。

 ためらいつつも付いていくと、そこには何種類もの美しい反物が並べられていた。

 桃色、若草色、菫色……模様も様々でそれだけで芸術作品のようだ。


「何か気になる物はありますか?」

「えっと……」