白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。



 妖は夜に力を強めるため、昼間は活動を控えるものだと思っていたが、一概にそういうわけではないらしい。

 そして何より驚いたのは。


「人間がいる……」


 人間に近い容姿に化けていても、にじみ出る霊力から妖か本当の人間なのかはすぐにわかる。軽く見たところ、ここにいる三分の一ぐらいは人間だ。

 そしてその人間達は、ごく自然に妖たちに紛れ談笑している。


「人間は非力だが妖より頭の回る者や手先の器用な者が多い。貴重な労働力だ」


 紫陽の一歩前を歩く狗神は、紫陽の呟きを聞き取ったらしく一瞬だけ後ろを見て言った。


(狗神の治める地には人間も暮らしているという話は有名だけれど……)


 しかし聞いていた話では、その人間たちは人間社会からはじき出され、仕方なく妖の住む地に居を構えた人々であるはずだった。それ故、妖たちからは奴隷のような扱いを受けているが、他に行く場所もないので耐えるほかない。……そういう話だったのに。


(まるで、人間が妖たちと対等な暮らしをしているように見える)


 妖が人間の店で当然のように物を買い、談笑する。