白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。



 閏は不満そうな表情のまましぶしぶ城へ消えた後、しばらくして一人の女性を連れて戻ってきた。

 青みがかった髪を後ろでしばり動きやすいよう着物を紐で留めた、女中らしい格好をした若い女性。人間らしくない髪色や纏っている霊力の雰囲気からして、彼女も妖だろう。だから実際の年齢はわからないが、見た目は紫陽と同世代ぐらいだ。少女と言っても差支えなさそうに見える。


「お帰りなさい主〜。……って、誰ですかその女の子。人間ですよね?」


 紫陽がまだ狗神に横抱きにされたままの状態だったこともあり、駆け寄ってきた女性は不思議そうに紫陽の顔を見た。


「ああ。涼風家の娘だそうだ。はるばるここまで俺のことを殺すために来たらしい」

「はえ〜〜。そりゃ命知らずな。で、そんな子をどうして城まで連れて帰ってきたんです?」

「花嫁にしようと思ってな」

「なるほど〜、それはそれは」


 女性はうんうんと大きくうなずいた後、一拍遅れて「え〜っ!?」と叫んだ。


「なっ、あ、あの主が!? 町の美女たちに誘惑されても他の王の娘たちとお見合いさせられても『興味ない』の一言で冷たく一蹴していたあのカタブツ主が!? 自分を殺しに来た強気な女の子に一目惚れして、無理やり嫁に!? え、誘拐……?」

「勝手な想像で話を盛るな。一目惚れなどしていないし、彼女は自分の意思で俺の申し出を受けた」