「二学期始まったらまた四人で遊び行こうよ」

八月二十九日。
例年ならやり残してしまっている宿題に悪戦苦闘しているところだけど、
「あんな夏休みの最後は嫌だ」とさすがに学んだ私達は、今年は宿題全制覇に成功した。
時雨の数学のドリルを思い出せば、「全制覇」って言っていいのか分からないけれど。

今日は「夏休み終了を憂う会」なんて時雨によってヘンテコなネーミングをされた会を、
時雨の部屋で二人だけで催している。

ただのお菓子パーティーだ。

琉真のことも、紅華との数日間の出来事も、時雨にはすぐに報告した。

時雨は、「ね!言った通りだったでしょ!」ってちょっと得意げに喜んでくれた。

「理由なんてなんでもいいじゃん。悪いことの始まりなら考えなきゃいけないけどさ。いいことなんだから。これからの楽しみだけ考えてればいーの!」

そう言って電話をしながら笑ってくれた時雨の言葉を私は素直に受け止めてみようと思った。

そう言えば、時雨も凪くんとは珍しく、長く続いているように思う。

時雨にとっても失くしたくない、本当の恋愛に出逢えたのならすごく嬉しい。

「夏休み終わったら時間合わせられるかなー?」

「だーいじょうぶ!大学生の夏休みってめっちゃ長いんだよ」

そう言えば琉真が通っている大学も、
九月中頃くらいまで夏休みだって言っていたっけ。

「でも四人で会うの、この前より緊張しちゃうかも」

「なんで?」

「だって絶対冷やかすじゃん」

「当たり前じゃん。それが楽しみなんだから」

「もー!変なことを目的にしないでよね」