そう願っていたけれど、
紅華とバイバイしてからそのまま琉真に連絡した。

琉真は「ちょうど暇してたから」と言ってすぐに来てくれた。

初めて遊んだ時と同じファミレスだった。

メロンクリームソーダのバニラアイスの上にちょん、と乗せられたさくらんぼの穂先をイジっていたら、
「糸ってメロンソーダが好きなんだな」って笑われた。

「そうかな?」

「この前遊んだ時も飲んでたじゃん」

「よく憶えてるね。さっき甘いの飲んだからさー。ちょっとお口直し」

「そっか」

琉真はアイスコーヒーをブラックで飲んでいる。
凪くんとケチャップのことで争っていた時よりもなんだか大人っぽく見えた。

「ごめんね。こんな時間に急に呼び出して」

「まだ七時だよ。高校生にとっては夜遊びかな?」

「高校生も全然まだまだ遊んでる時間ですー!」

「はいはい、ごめんね。今日は?誰かと遊んでたの?」

「こーちゃん…あの、この前言ってた好きな人と」

「ああ。あの時は大丈夫だった?」

「うん。ちょっと体調壊して入院してたんだけど、今日は退院祝い的な感じで会ってたんだけどね」

「じゃあ糸は今、幸せな時なんだ?」

「どうだろう。分かんない。私達は特別な関係ではあるけど、前も言ったみたいにさ、改めて恋愛とか常識とかそういう尺度とは違う関係性でいようって、私から宣言しちゃったっていうか…。いつか二人が一緒に居ることができなくなっても大丈夫な二人になろうって。一緒にだいじに育ててきた心でなら、人に愛されることもきっと怖くなくなってるはずだから」

「複雑なんだな」