「じゃあさ、わがまま言ってもいい?」

「なんでもどうぞ」

「お誕生日、おめでとうのメッセ欲しい。絶対に、誰よりも一番に」

「…それだけ?」

「世界で一番好きな人に、世界で一番最初に生まれたことをおめでとうって言ってもらえるんだよ。最高のプレゼントだよ」

「はぁ…もう糸ちゃん。ほんと反則だから」

「何が?」

「なんでもない!」

紅華は私から目を逸らして、
ブレスレットを手首に着けて「キラキラー」って言いながら腕を挙げた。

時間よ止まれ。

私と紅華だけを取り残して。

時間よ止まれ。

二人きりの世界で、ずっとこのままで。