紅華の華奢な指が箱のリボンを解く。

粒の小さいシルバーのブレスレットが照明の光を受けて
キラキラと瞬いている。

「きれい。すごく素敵だね」

「こーちゃんの趣味的にはちょっと華奢過ぎるかな?ユニセックスで使えるし人気だって店員さんが教えてくれたの。私もデザインが気に入ったから即決しちゃったんだけど」

「ううん、こういうの大好き。めっちゃ大切にする。本当にありがとう」

「良かった」

「てかごめん。逆じゃない?」

「何が?」

「だって糸ちゃん、もうすぐ誕生日でしょ」

心臓がキュッと波を立てる。

八月三十日。
もうすぐ私は出逢った時の紅華と同じ、十八歳になる。

憶えていてくれたことが嬉しかった。
その一言だけで、紅華の中の私はどうでもいい存在なんかじゃないんだって実感できたから。