僕の雨になって

病院までは繁華街の駅前から路面電車で四駅。
国鉄の電車よりも、バスや路面電車に乗る機会のほうがこの街では多い。

陽炎で揺れる視界のせいで線路が歪んで見える。
ずーっと遠くのほうはまるで蜃気楼で、
見慣れているはずの景色が、存在しない街みたいに感じた。

ぼやける頭で紅華のことを考えた。
今の私には考えることなんて紅華のことしかなかった。

もしかしたら女性なのかも、なんて一度も疑ったことなんてない。

私が紅華のことを男性だと信じていたことを、
「自信が持てた」と言ってくれたけれど、
同時にプレッシャーを与えていたんじゃないか。
恋をしてしまったことで追い詰めてしまったんじゃないか。
私の想いが紅華に本当のことを言えなくさせていたのかもしれない。