その出逢いをきっかけに、私達は頻繁に会っていたわけではない。


六月になった。
この半年間で実際に会ったのはたったの一度だけ。
それ以外は全て、メッセージアプリか電話でのやり取りだった。

話す内容は他愛ないことばかりで、
紅華は初めて会った時の印象よりもずっと無邪気で、
実際よりも年下に見えた。

あんな誘い方をしてくる人だ。
大人びている、っていう雰囲気は正直感じていなかったけれど。

たったの半年間、しかも会ったのは一度だけなのに
既に沢山の思い出がある。

出逢ってすぐの頃。
紅華はお腹を壊した。

それは紅華がメッセージを送ってきたことで知った。

「めっちゃお腹壊した!」

「え、大丈夫?」

「だって食べてみたかったんだよ」

「何を?」

「雪のかき氷」

「ちょっと待って。ほんとに食べたってこと?」

「友達がメロンソーダ買ってきてさー。それかけて食べた」

その日、雪が降っていた。
私達が住む街に雪が降ることは珍しくなかったけれど
雪を食べたいなんて言い出すのは絵本の中か、
幼児くらいだと思っていた。

もちろん″悪ふざけ″であることは分かっているけれど
実際にやってみるなんて呆れちゃう。