僕の雨になって

「こーちゃん、気まずいよ。仕舞ってください」

「糸ちゃんが意味分かんないからじゃん」

「びっくりしたよ。当たり前じゃん。でも自分に対してもびっくりしてるから何をどう思っていいのか分かんなくて…そのことを言い出さなかったのは頭が冷静になれてないからかもしれない」

「なんで糸ちゃんが糸ちゃんにびっくりしたの」

「いやあ…よく気づかなかったなぁって」

「まぁ…」

「人間って先入観で判断しちゃうの、やっぱ怖いね。確かに中性的な人だなぁとは思ってたよ。声だってしっかり低いわけじゃないし。ファッションが男性っぽいから、一人称が男性だから、″彼女″が居るから。そんなテンプレだけで男だとか女だとか決めつけちゃうんだもんね。だめだね」

「俺は変な自信が持てたけどね。良かった、ちゃんと男に見えてるんだって」

「胸はどうしてたの」

「普段はサラシ巻いてんだよ。入院中はさすがにしんどいからさ」

「バイトのオーナーさんは…」

「もちろん知ってるよ」

「そっか」

「糸ちゃん、改めて…ずっと騙しててごめんなさい」

「騙されたなんて思ってないよ。だってこれがこーちゃんなんでしょ」