僕の雨になって

翌日。

夏休みにしてはいつもより早起きをして、
支度を済ませて九時には家を出た。

途中のコンビニでお見舞いにゼリーと、フルーツのカップを買った。
食べられるか分からないけれど手ぶらで行くわけにはいかないし。

市内で一番大きい総合病院。
二階から、四階を除いて六階まで全て入院用の病室になっている。

二階のナースステーションで紅華の病室を訪ねた。
沢山の患者さんの中で、「宇佐見紅華」という珍しい名前はすぐに見つかった。

三階フロアだと教えてもらって、
階段で上った。

入院患者のお見舞いにはおじいちゃんが体を壊した時くらいにしか来たことが無いけれど
いつも病室フロア特有のにおいがする。

薬品や鉄筋の建物とも違う、
言葉では言い表せないにおい。

三階の、エレベーターを降りたら右側通路の突き当たり。

集団病室の壁に、一部屋最大六人ずつのネームプレートが並んでいる。

知らない人の、沢山の名前。

なんでだろう。

次々と視界に飛び込んでくる名前を見ながら、
だんだんと心臓の鼓動が速くなっていく。

なんでだろう。

突き当たりの集団病室。

「宇佐見紅華」のネームプレートが掲げられた病室には、四人の名前が並んでいる。

ねぇ、こーちゃん。

なんで。

全員、女性の名前なの。