僕の雨になって

遠くの空のほうからだんだんとオレンジ色に染まり始めている。

適当に歩いて辿り着いた公園のベンチに座った。
足元は粒の小さい、サラサラとした砂で補整されている。

靴の先でアーチを描いたり、
「紅華」って書いてみたりしながら、また自分でぐちゃぐちゃに消しては、繰り返した。

ぬるい風が頬を撫でる。

湿った香りがして、
耳元で聴いている紅華の声よりも大きい蝉の鳴き声が嫌で、
夏が早く終わってしまえばいいのにって思った。

早く冬が来てほしい。

あの静かな冬に、あの傘の中で、
また紅華と二人きりになってしまったみたいに取り残されたい。

「糸ちゃん」

「なぁに」

「好きだよ」

「うん」

「好きだからね」

「私も好きだよ」

「今日遊んだ奴よりも?」

「もー。嫉妬しないでよ。でもいい人だったよ」

「あーあーあー肺が爆発しちゃうかも」

「あはは。ねぇ、こーちゃん」

「なぁに、糸ちゃん」

「好き」

「かっわい」