僕の雨になって

初対面なのにすごく優しくしてくれる琉真にも凪くんにも、
いつもは呆れていても本当は理解してくれている時雨にも
いっぱいごめんって思うのに、こんな日でさえも私の思考は紅華に支配されていく。

どんな状況でも紅華のことを無視できなくて、
琉真と凪くんに至っては初対面なのに私の事情を押し付けてしまったことを悔やんだ。

それでも私は紅華に向かって走ることを止められない。
どこに向かえばいいのかも分からない。
ゴールになんて永遠に辿り着けないかもしれない。
紅華の背中すら視界に入らないまま、私の脚が先にだめになってしまうかもしれない。

それでも走り続けてしまう私は滑稽で大バカ者なのかもしれない。

「こーちゃん?ごめんね、遅くなっちゃった」

「もうすぐに戻んなきゃヤバイかもだけど」

人波が落ち着く場所まで来て、
ようやく発信した電話に紅華はすぐに応答してくれた。

その声は少しだけ拗ねている子どもみたいに聴こえた。

紅華の声を聴きながら、当てもなく歩いた。