僕の雨になって

「しぐっ…時雨!」

「わっ、糸びっくりした。どうしたのよ」

いきなり手首を掴まれた時雨がまん丸の大きな目をもっと大きくして私を振り返った。

「糸?」

心配そうな表情をした琉真と時雨、
不思議そうに見ている凪くんの顔を順番に見ながら私が言えたのは、
「こーちゃん…」って呟くことだけだった。

「″こーちゃん″…?」

「琉真くん、さっき言ってた糸の好きな人」

「ああ…」

「糸、どーしたん?」

凪くんが心配そうな目で私を覗き込んだ。

「ごめん…ごめんなさい。私、ここでバイバイしてもいいかな。なんかこーちゃんが病院に本当は居る?けど抜け出したとかなんとか言ってて…」

「は?病院?入院してたの?」

「分かんない…なんにも聞いてない。でもなんかそうみたいで」

「よく分かんないけどなんかあったら怖いし早く電話してあげな。二人もいいよね?」

「糸、すぐに電話してあげて。連絡してきてるってことはきっと大丈夫だから、糸も落ち着いてな。俺からもまた連絡してもいい?」

「琉真…ごめんね。私も連絡する」

「うん。待ってる」

「糸、気をつけて帰ってな。混乱してるとちょっと危ないから」

「凪くんもありがとう。時雨もごめんね…」

「うちらはいいから。早く行きな!」

「ありがとう、またね」