僕の雨になって

その後の時間のことは細かくは憶えていない。

ファミレスを出て適当にウィンドウショッピングをしたり、
動物好きな時雨がペットショップでハシャいでいたり、
断片的には憶えているけれど、
琉真が言ってくれた言葉を何度も反芻して、上の空だった。

琉真に言ったことを、私だってそうだよって琉真は言ってくれた。
この恋が辛いのなら逃げてもいいんだよって。

時雨も琉真も私を心配してくれているからこその言葉だということは分かる。

でも根本的に違うことがある。

確かに紅華を想っても、思い通りにならないことのほうが多い。
だけど紅華のことを好きで居続けることが
苦しいことだとは思っていない。

恋人にはなれない。
他の誰かが彼女のポジションにつくたびに、
嫉妬で狂いそうになるかもしれない。

それでも紅華はきっと私を大切に思い続けてくれるはずだ。

琉真は長い長い恋を終わらせる決心をした。
それがどれだけ苦しいことか想像できるから、あんな言葉をかけたけれど、私は「失恋」はしていない。
世にも奇妙な両想いだけど…。

だから私は紅華への想いから逃げたいわけじゃない。
むしろ一生味方でいる、と約束したばかりなのに。

でも、もしも…。

この恋が完全には成就しなかったら?
友達にもいつか終わりが来てしまったら?

私はまた一人で泣くのだろうか。