僕の雨になって

心臓がギュッと締め付けられるような想いだった。

だいじな人が抱える想いを自分のことと同じくらい真剣に大切に想って、
大好きな人の為に苦しい決断をした琉真の言葉だからこそ、強く響いた。

「でも琉真、別にまだ私のこと好きじゃないじゃん」

俯いて呟いた私の声は小さくて、
テーブルに吸い込まれていくようだった。

「これから好きになる予約、みたいな変な始まり方だっていいじゃん、この際さ。どうせ変な出逢い方なんだし」

変な出逢い方。

あの雨の日を思い出す。

傘を持っていなかった紅華。

紅華を想うたびに、
失くさない為に世間一般を捻じ曲げるたびに、
私の傘の穴は、これからどんどん大きくなっていくのかもしれない。

琉真の傘に空いた穴も、
私の傘に空いた穴も、
二人で修復していく未来を信じてみる?

でも、まだ、私は、

「私、まだ彼のことが好きなんだよ」

「俺だってそうだよ。でもそれは運命じゃなかったのかもしれない。これから運命が変わってくのかもしれない。幸せになる為の″無理矢理論″ならさ、別にやってみたっていいだろ?」