「あの、お名前は」

「あ、まだ言ってなかったね。ごめん、ずっと不審者で」

「いや別に、そんなことは」

すっごく変わってる人だけど、とは言わなかった。

宇佐見紅華(うさみこうか)です」

「うさみ、こうか」

「そう。宇宙の宇、佐賀県の佐、見るの見、こうかは、くれないに中華の華」

「へぇ。中性的でお洒落なお名前ですね」

「ありがとう。きみの名前も聞いてもいい?」

晴架糸(はるかいと)です。お天気の晴れに、えっと…橋を架けるとかの架、糸は普通に手芸の糸」

「糸ちゃん!可愛い名前。てか全部アイドルみたいな名前だね」

「名前負けしててコンプレックスです」

「なんで?どこが名前負けしてんの?」

真面目な目でサラッと言われて、
恥ずかしかったからパッと視線を逸らして、
ちょっとぶっきらぼうに聞き返した。

「おいくつなんですか」

「十八」

「高三?」

「高校は中退してるんだ」

「そうなんですか。私は十七の高二です」

「じゃあ一個下だ」

「はい」