僕の雨になって

時雨は私を見て、困ったような表情で肩をすくめた。

「しょうがないことってあるよ。自分がどれだけ相手のことを想っててもさ、なんか絶対に踏み込めない領域を相手が持ってたら…見えない一線を引かれてたらそれ以上踏み込めなくなっちゃうじゃん。それなら琉真だって自分の心の平和の為に逃げたっていいんだと思う」

「そうだよ。″綺麗事″って言っちゃったらちょっと乱暴かもしんないけどさ。そういうの並べ立てて鎧にしたつもりでも自分の心がへたっちゃったらもうなんにもできなくなっちゃうじゃん。って、私は糸にもそう思ってるけどね?」

「えっ、何、もしかして糸も失恋同盟?」

「ちょっと凪!茶化さないでよね」

「時雨、私別に失恋はしてないんですけど」

「糸、なんかあったの?」

琉真が心配そうな目で私を見つめている。

時雨はアップルティーを一口飲んだ。
とっくに冷めてそうなのに猫舌の時雨は顔をしかめて、
自分が広げてしまった話に責任を回収するように、「糸は、」って呟いた。

「琉真と似たようなもんだよ」